「別に猫が好きではありません」
暇な女子大生もすなるTinderといふものを、やってみた
友人に勧められて、Tinderを始めてみる。まあ、なんというか気が滅入るようなアプリだ。女の子を「好き」か「そうではない」かで左右にスワイプし続けるのだが、これを裏側では女の子もやっているのだ。
無限の情報の波に運命という言葉が流されていく。私だって運命などという青臭いものを鵜呑みにしているわけではない。しかし、運命の欺瞞を白日の下に晒すというのも同じくどこか青臭い。人生の面白みを減退させる行為だ。オトナは運命の運命性を毀損しない。人生が面白ければ、それが一番よいのである。
Tinderを使えるほど私たちは「理性的」ではない
私たちはTinderが使いこなせるほど「理性的」ではない。現実に知り合った女の子に「スターウォーズ私も好きです。」と言われるのと、Tinderで出会った女の子に「スターウォーズ私も好きです。」と言われることは、やはり違うのだ。
恐ろしいのはTinderに運命性を毀損されて現実に知り合った女の子のスターウォーズ発言にまでも「おお!」と思えなくなることだ*1。Tinderは弱い酸のように私たちの現実を溶かしていく。
そして私はどきっとする。
しかしこのアプリを通じて、面白い女の子に出会ったこともまた事実である。彼女とはスワイプするまでのほんの一瞬の出会いであった。(マッチしなかったのですね。だからTinderが嫌いなんじゃないか。)
黒いパーカーを着た、黒髪ショートの女の子。背景には赤や白のライトがきらめいている。都心の夜、といったところだろうか。
切れ長だがしかし大きい目がキリリと私を向いている。とても可愛い。漂うコーラ女子感。
猫っぽい。この女の子自身も猫好きに違いn
このくらいのタイミングで私はプロフィールに目をやる。
「別に猫が好きではありません」
どきっとする。私が考えている2手先をいっている。
「よく猫っぽいっていわれます」
とかなら、どきっとはしなかっただろう。
この感性がすごい!
それにしても、この女の子の感性は素晴らしいと思う。友人とかに何度か言われたんだろうか。それともTinderでそんなやりとりをすることに飽き飽きしていたのだろうか。
やくしまるえつこ繋がりで言えば、なんとなく相対性理論の「さわやか会社員」のようでもある。
彼女はこんなこと言われたくないだろうが、もう出会うことも無いだろうし(アプリももう消してしまった)、敢えて言おう。
「そういうところも、猫っぽい。」
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