リロノウネリ

心理学徒によるサブカルチャーから哲学まで全てにおいて読み違える試み

東浩紀

人工知能時代の主体とは何か―行為責任の観点から

AIの時代に必要な能力とは 人工知能は今後次第にネットワーク化されていくだろう。次の時代の人間に求められているのは人工知能に代替不能な能力だ。 総務省のAIネットワーク化検討会議(2016)によれば,人工知能に代替できない能力は創造性,再編成能力,ホ…

男の娘と新たな決断主義-アニメ「ナイツ&マジック」から

ナイツ&マジックのテンポの良さ 今期注目のアニメのひとつ「ナイツ&マジック」を見ている。岡田斗司夫が第一話のテンポの良さを面白がっていたので興味が沸いたからだ。一話を見てみるとAパート12分の内に天才プログラマーだった主人公が交通事故に遭い、異…

連続再生の精神分析

連続再生の時代 海外ドラマやテレビドラマ、クールもののアニメなど、夜を徹して見続けるという趣味を持つ人は今や決して少なくない。海外の人気ドラマではいくつもシーズンが続くことが多いし、日本のドラマやアニメでも、1クールには9~13話くらいはあ…

アニメ「デュラララ!!」を見て‐セルティの批評性

セルティという批評的なキャラクター セルティ・ストゥルルソンというキャラクターは非常に批評的だと私は考える。 彼女には首から上がない。デュラハンだからである。彼女は岸谷新羅と同居している。彼はセルティに首がないのにもかかわらず愛している。そ…

「中央線沿線」感と「郊外」感が交じり合う荻窪

「中央線沿線」の魅力 中央線沿線には私たちを惹きつけるパワーがある。下北と並ぶ古着屋王国、高円寺。阿佐ヶ谷の持つ、若手芸人が住んでいる街感。西荻窪は「古きよき」がキャッチフレーズのテーマパークだ。 東浩紀 西荻窪は古本屋が多いので有名なんです…

なぜサブカル批評家は北海道出身なのか

サブカル批評家の聖地、北海道 サブカルの批評家や作家は北海道出身者が多い。 東浩紀 実際、〇〇年代に入ると、言論人の出身地がそのひとの主張に大きな影を落とすようになる。たとえば、オタク評論の周りでは北海道出身者が目立っている。藤田直哉さんがそ…

「けものフレンズ」と東浩紀『ゲンロン0』

「けものフレンズ」と『ゲンロン0』 「けものフレンズ」が世間を沸かせている。東浩紀『ゲンロン0』も世間を沸かせている。私にとっての世間が狭い、という可能性は否定しない。しかし『ゲンロン0』によって「けものフレンズ」を語るということに意味がある…

『モモ』書評「システムの無謬性と想像力の欠如」

『モモ』に描かれる世界のシステム 幸福のために限りある時間を有効に使おうとする。その振る舞いは間違っていない。しかし人々が時間に対して過度な合理性を求めると、今度は合理的に時間を使うことが目的化されてしまう。つまり、なんのために時間を切り詰…

日本とフランスとファッションとテクノ

ファッションショーの国際比較 最近ファッションショーの国際比較の授業を受けた。私はファッションに特別な関心を持っているわけではない。しかし授業が面白かったこともあり、ぐるぐると考えが頭を駆け巡ったのだった。 フランスでは日常、街で見かけない…

『SAO』論-東浩紀『AIR』論から

『SAO』論-東浩紀『AIR』論から 今回はアニメ『ソードアートオンライン』について考えてみたい。私が考えたいのは第1期のラストについてだ。時期的にも、読者数的にもネタバレに配慮することはないため、ご容赦願いたい。 さて今回『SAO』論を立てるにあたっ…