リロノウネリ

心理学徒によるサブカルチャーから哲学まで全てにおいて読み違える試み

ボードリヤールとキラーチューン-「インスタ映え」に満足はあるか

東京事変「キラーチューン」再考 2007年に、東京事変によって発表された5枚目のシングル「キラーチューン」は間違いなく最高傑作のひとつだろう。今回は、この名曲を歌詞の面から考えてみたい。しかし、なぜ10年前の名曲をここで語る必要があるのか。大体、…

SNS時代と職場のコミュニケーション-人間関係はON/OFFで切り替えられるか

直接的に、間接的に、人間関係を変えるSNS 過去に、「ツイッターと対象喪失」というテーマで記事を書いたことがある。 zizekian.hatenablog.com このときには、ツイッターのアーキテクチャが人間関係を強制的に続行させるということを取り上げた。SNSが恋人…

SAO総論-第一章「科学技術による父の復権」

三度目の正直!SAO論を打ち立てろ! リロノウネリではこれまでに二度、アニメ「ソードアートオンライン(以下SAO)」について語ってきた。一度目はアルヴヘイム・オンライン(以下ALO)における須郷=オベイロンとの戦いについて。二度目はガンゲイル・オン…

告白ハラスメントとは何か

告白ハラスメントの「発明」 告白ハラスメントというものが新たに「発明」されたらしい。告ハラが果たしてハラスメントと言えるのかということについてここで考えるつもりはない。それを言い出したら感動ポルノだってポルノではない。ニュアンスはなんとなく…

男の娘と新たな決断主義-アニメ「ナイツ&マジック」から

ナイツ&マジックのテンポの良さ 今期注目のアニメのひとつ「ナイツ&マジック」を見ている。岡田斗司夫が第一話のテンポの良さを面白がっていたので興味が沸いたからだ。一話を見てみるとAパート12分の内に天才プログラマーだった主人公が交通事故に遭い、異…

可能世界の倫理を考える-「リゼロ」と「時かけ」から

可能世界とは何か 最近、可能世界の自分について考えることが増えた。これは私の年齢によるものなのかもしれない。就職がリアルになることで、未来の自分の想像ができるようになる。それを逆に言えば、ありえたかもしれない自分との別れでもある。 現在の可…

5000兆円或いは、おちんちんランド開園

Twitterで見かける5000兆円ネタ 「5000兆円欲しい!」や「おちんちんランド開園」というネタが、Twitter上で流行りに流行っている。流行ってからもう3ヶ月は経っているネタだが、未だにバズツイートの返信欄などで見かけることがある*1。今回はこれらがなぜ…

モナーコインをマイニングしてみた

不労所得は人類の夢 不労所得・・・その妖しげな響きに誰しもが魅了される。アフィリエイトやメルマガ、マルチ商法。不労所得と結びつくそれらの言葉全てはいまや過去の遺物だ。 不労所得2017。それは仮想通貨マイニングだ!!! 高騰のニュースで、にわかに…

相対性理論『証明Ⅲ』を観てきた

はじめてのやくしまるえつこ 昨夜、中野サンプラザホールにて相対性理論『証明Ⅲ』を観てきた。相対性理論のライブには初参戦だったが、運よく一階の5列目くらいの絶好の席だったのでかなり楽しめた。ツインドラムのドカドカ音は暫く耳に残りそうだが・・・ …

シオカラ節に歌詞はいるのか

任天堂を背負っていくスプラトゥーン スプラトゥーンは2015年に発売された任天堂の大人気アクションシューティングゲームである。ポップなカラーとキャラクター、BGMで新たな世界を作り上げ、今後10年20年と任天堂を背負っていくことが期待されている。2017…

「別に猫が好きではありません」

暇な女子大生もすなるTinderといふものを、やってみた 友人に勧められて、Tinderを始めてみる。まあ、なんというか気が滅入るようなアプリだ。女の子を「好き」か「そうではない」かで左右にスワイプし続けるのだが、これを裏側では女の子もやっているのだ。…

連続再生の精神分析

連続再生の時代 海外ドラマやテレビドラマ、クールもののアニメなど、夜を徹して見続けるという趣味を持つ人は今や決して少なくない。海外の人気ドラマではいくつもシーズンが続くことが多いし、日本のドラマやアニメでも、1クールには9~13話くらいはあ…

Twitterは失恋(対象喪失)をこじらせるか

無限に語られたテーマで再び・・・ すごく平凡なタイトルになってしまった。しかし「対象喪失」という心理学の視点から見ると「Twitterと失恋」というあまりにも擦られたテーマでも、見たことのない内容になるのではないか。それを目指して書いてみたいと思…

アニメ「デュラララ!!」を見て‐セルティの批評性

セルティという批評的なキャラクター セルティ・ストゥルルソンというキャラクターは非常に批評的だと私は考える。 彼女には首から上がない。デュラハンだからである。彼女は岸谷新羅と同居している。彼はセルティに首がないのにもかかわらず愛している。そ…

『夜は短し歩けよ乙女』映画批評「恋愛と森見登美彦」

映画『夜は短し歩けよ乙女』批評 昨日、ついに映画『夜は短し歩けよ乙女』を鑑賞してきた。この映画は、私の中高時代を濃縮還元したものだといえる。 原作は森見登美彦。主題歌『荒野を歩け』はアジカンだし、キャラ原案は中村佑介。主人公「先輩」の声優は…

読書コンプレックス‐Renta!というアプリのCMから

Renta!というマンガレンタルアプリのCM Renta!というマンガレンタルアプリのCMで、マンガを読んでいる女性(麻生久美子)に意識高い系の男がビジネス本を勧めるものがある。女性は男性に引きつった表情を見せ「難しい本読んでれば、マンガ読むよりエラいんで…

「中央線沿線」感と「郊外」感が交じり合う荻窪

「中央線沿線」の魅力 中央線沿線には私たちを惹きつけるパワーがある。下北と並ぶ古着屋王国、高円寺。阿佐ヶ谷の持つ、若手芸人が住んでいる街感。西荻窪は「古きよき」がキャッチフレーズのテーマパークだ。 東浩紀 西荻窪は古本屋が多いので有名なんです…

なぜサブカル批評家は北海道出身なのか

サブカル批評家の聖地、北海道 サブカルの批評家や作家は北海道出身者が多い。 東浩紀 実際、〇〇年代に入ると、言論人の出身地がそのひとの主張に大きな影を落とすようになる。たとえば、オタク評論の周りでは北海道出身者が目立っている。藤田直哉さんがそ…

「けものフレンズ」と東浩紀『ゲンロン0』

「けものフレンズ」と『ゲンロン0』 「けものフレンズ」が世間を沸かせている。東浩紀『ゲンロン0』も世間を沸かせている。私にとっての世間が狭い、という可能性は否定しない。しかし『ゲンロン0』によって「けものフレンズ」を語るということに意味がある…

『神の悪フザケ』マンガ批評「自己否定的な自己愛の迷路―暴露と欺瞞」

壮絶な鬱マンガとしての『神の悪フザケ』 私はこの漫画を読み終えるのに、漫画一冊ではありえない期間を要した。それは時間が掛かったということではない。この漫画の情報量は多いわけではない。そうではなく、読み続けることができないのだ。めまいがしそう…

『パンズ・ラビリンス』映画批評「ファンタジーと現実を繋ぐ発想の転換」

映画『パンズ・ラビリンス』批評 今回は『パンズ・ラビリンス』の批評を。かなり論理の飛躍、恣意的な読み取りが見られるのはご愛嬌。 主人公の少女オフェリアは最初、これから巻き込まれるファンタジーと類似した物語を読んでいる。そして行き先は、新たな…

『モモ』書評「システムの無謬性と想像力の欠如」

『モモ』に描かれる世界のシステム 幸福のために限りある時間を有効に使おうとする。その振る舞いは間違っていない。しかし人々が時間に対して過度な合理性を求めると、今度は合理的に時間を使うことが目的化されてしまう。つまり、なんのために時間を切り詰…

『十二人の怒れる男』映画批評「スキーマの見せる「客観的」世界について」

映画『十二人の怒れる男』批評 今回は不朽の名作『十二人の怒れる男』の批評を。私が同じ本ばかり引用に使うのは、それだけしか読んでいないわけではなく(確かにそれほど読んでいるわけではないが)、その本への理解をより深めるためなのだと断っておく。 …

『カッコーの巣の上で』映画批評「わかるかどうかは重要であるのか」

最近の松本人志のツイートから 今回は『カッコーの巣の上で』の批評である。この批評は最近の松本人志のツイートとも関連していると言える。私は彼の笑いが好きだが、ワイドナショーなどをみていると彼の発言の全てに同意できるわけではない。しかし以下のツ…

『潜水服は蝶の夢を見る』映画批評「コミュニケーションの極限から」

『潜水服は蝶の夢を見る』映画批評 今回は映画批評のようなものを。取り上げる映画は『潜水服は蝶の夢を見る』だ。 主人公ジャン=ドーはパリのファッション誌『ELLE』の編集長であったが、脳梗塞によって左目の瞳と瞼しか動かせなくなってしまった。右目は…

『紙の本は、滅びない』書評「紙の本と内田樹」

『紙の本は、滅びない』書評 『紙の本は、滅びない』というタイトルは私を惹きつけた。そのタイトルの中に、文字になっていなくとも電子書籍の脅威が見える。また、紙の本の絶滅可能性について人一倍考えているからこそ出てくるタイトルであり、どちらの側に…

『夜と霧』書評「極限状態に生きること―能動的主体の挫折―」

『夜と霧』書評 心理学徒としては『夜と霧』は読まねばなるまい。そして書かねばなるまい。というわけで今回は書評のようなものをお送りする。 『夜と霧』を読んで最初に感じるのは、フランクルという人間の温かみだ。巻末の写真や図には、見るだけで強制収…

コーラみたいな女の子論–神田恵介やくしまるえつこ論から

もっと知りたいやくしまるえつこ 私は相対性理論を含め、やくしまるえつこの歌が好きだ。ということで最近ユリイカのやくしまるえつこ特集を買った。といっても2011年の特集であり、古本をアマゾンで買ったのだが。今更ではあるが彼女のことをもっと知り…

日本とフランスとファッションとテクノ

ファッションショーの国際比較 最近ファッションショーの国際比較の授業を受けた。私はファッションに特別な関心を持っているわけではない。しかし授業が面白かったこともあり、ぐるぐると考えが頭を駆け巡ったのだった。 フランスでは日常、街で見かけない…

『SAO』論-東浩紀『AIR』論から

『SAO』論-東浩紀『AIR』論から 今回はアニメ『ソードアートオンライン』について考えてみたい。私が考えたいのは第1期のラストについてだ。時期的にも、読者数的にもネタバレに配慮することはないため、ご容赦願いたい。 さて今回『SAO』論を立てるにあたっ…